【画像+動画アリ】:脳スキャンを使い、12 年間植物状態だった男性との対話に成功!!
2012年 11月 21日
脳スキャンを使い、12 年間植物状態だった男性との対話に成功
Western Ontario 大学の Adrian Owen 教授が、12 年間植物状態と診断されてきた男性と、MRI を使って対話することができたとのこと。Owen 教授が男性に幾つか質問したところ、脳スキャンを通して脳が部分的に光ったため、「痛みを感じていない」など男性の考えを知ることができたのだそうだ。
自動車事故により脳に重度の損傷を受けた Scott Routley 氏 (39 歳) は、目は見開かれたまま物理的な反応がないため植物状態と診断されてきた。これまで植物状態と診断された場合は、自分及び周囲環境を認識できていないとされてきたが、今回の実験により、Routley 氏には意識があり、自分が誰であり、何処にいるのを認識できていることが明らかとなった。
植物状態で対話不能と思われている患者でも脳をスキャンすることで対話が可能であることが分かったが、Owen 教授は、今後はそういった患者の 5 人に 1 人が日常的な対話を行えるようになることに繋がって欲しいと話している。また MRI 装置は高額であるが、最新の携帯用脳波測定器なら 75,000 ドル程で、患者のベッド脇に置いてコミュニケーションに使用することも可能性として考えられるとのこと。
ちなみに植物状態の患者と MRI を用いた対話は、2010 年に行われたケンブリッジ大での試み (Mail Online の記事) が最初らしい。
source:zaikei2012.11.19
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植物状態と脳死の違い
世界の殆どの国で「脳死は人の死」とされ、脳死下での心臓、肝臓、肺、腎臓などの移植が日常の医療として確立されています。しかし、日本の臓器移植法では、臓器を提供する意思がある場合に限って「脳死を人の死」としています。人の脳は大脳、小脳、脳幹(中脳、橋、延髄)からなっています。このうち、どの部分が障害を受け、機能を失っているかで、全脳死、脳幹死、植物状態とに分かれます。
脳死には、大脳と小脳さらに脳幹がすべて障害を受けて機能しなくなった「全脳死」と脳幹が機能を失った「脳幹死」があります。脳幹死の場合は大脳はまだ機能は失っていないが、やがて大脳も機能を失い全脳死に至ります。
植物状態とは、大脳の機能の一部又は全部を失って意識がない状態ですが、脳幹や小脳は機能が残っていて自発呼吸ができることが多く、まれに回復することもあり脳死とは根本的に違うものです。
小脳ー運動や姿勢の調整
脳幹ー呼吸・循環機能の調整や意識の伝達など生きていくために必要な動き
◆脳幹を含む全脳の機能の不可逆的な停止。
◆回復する可能性はない(一般には心臓は動いているが、人工呼吸器を装着しても通常数日以内に心臓は停止してしまう)
◆自力で呼吸できない
◆脳幹の機能は残存(あるいは一部残存している)
◆まれに回復する可能性がある
◆多くは自力で呼吸している
日本における一般的な死の概念である、心臓停止の三兆候は以下の状態を言います。
1. 心拍動の停止
2. 自発呼吸の停止
3. 対光反射の喪失・瞳孔散大
脳死は、法令に定められた5項目によって脳死判定がおこなわれ判断されています。特に、移植を前提とした脳死判定は脳神経外科医など移植医療と無関係な二人以上の専門医師が6時間をおいて2回行います。2回目の脳死判定が終了した時刻が死亡時刻となります。脳死を経て死亡される方は全死亡者の1%未満と言われています。
◆5項目
1. 深い昏睡
2. 瞳孔の散大と固定
3. 脳幹反射の消失(1~5を6時間後に再度判定)
4. 平坦な脳波
5. 自発呼吸の停止
(source:okayama-zouki)
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