【推理小説書き方】:推理小説を書くルールとは?
2012年 11月 21日
推理小説を執筆する際に、守らないといけないルールというのが実は存在します。「推理小説が大好き!」という人なら知っていると思いますが、、たまに読む人やあまり読まないという人はもしかするとそんなのがあることさえ知らないかもしれません。
今回は、そんな推理小説のルールを紹介します。とはいえ、そのルールを絶対に守らないといけない!という訳ではありませんし、推理小説を書く際の入門的なものだと考えてもらえると幸いです。
まずは『ノックスの十戒』から紹介しましょう。
ノックスの十戒とは、1928年に推理小説家のロナルド・ノックスが発表した推理小説を書く際の入門的なルールです。
1.・・・犯人は物語の最初の部分から登場している人物でなくてはならない。
いきなり最終局面で「実は私が真犯人なのだフハハハハ!」などといきなり知らない人物が登場したらダメですもんね(笑)。
2.・・・探偵方法に超自然的な能力を用いてはいけない。
時間を巻き戻せたりしちゃうと簡単に犯人が分かってしまいますし……。
3.・・・犯行現場に秘密の抜け穴や秘密の通路が2つ以上あってはならない。
1つだけあるのはOKだそうです。
4.・・・未発見の毒薬や難解な科学的説明が必要になるような器具を用いてはならない。
読者が推理できないような空想上の薬物や、ドラえもんの秘密道具などのトンでもアイテムが登場してはいけない、ということですね。
5.・・・中国人を登場させてはならない
このルールが発表された当時は、中国人は神秘的、または超常現象的な力が使えると考えられていたそうです。
6.・・・偶然や第六感によって事件を解決してはならない。
適当に犯人の名前を挙げたら正解でした、めでたしめでたし。という展開は確かに寒いですよね(笑)。
7.・・・探偵自身が犯人であってはならない。
そりゃそうだ(笑)。ただし、探偵が事件を解決に導くために犯人を装うというのはアリだとか。
8.・・・事件を読者がわからないような手がかりによって解決してはならない。
読者に推理できる証拠はすべて明らかにしないといけない、ということでしょうね。
9.・・・ワトソン役(物語の語り部)は自分の判断や見解をすべて読者に伝えないといけない。
これも9番目と同じく、推理の判断材料をちゃんと提示せよ、ということのようです。
10.・・・双子の登場人物、または一人二役の変装などは予め読者に知らされなければならない。
出すならちゃんと読者にも知らせろ、とそういうことですね。
次に、ノックスの十戒と並んで有名な推理小説を書く際のルールが、『ヴァン・ダインの二十則』です。
これは推理作家のS・S・ヴァン=ダインがノックスの十戒と同じ1928年に発表したもの。
1.事件の謎を解く手がかりは明白に記述されていなくてはならない。
読者に謎の手がかりなどはあってはいけないということで。これはノックスの十戒と同じですね。
2.作中の人物が仕掛けるトリック以外に、作者が読者を騙すような記述をしてはいけない。
読者のミスリードを誘ういわゆる「叙述トリック」というものですが、ヴァン・ダインはこの叙述トリックがあまり好ましくなかったそうで、こういったルールを入れたそうです。
3.余計なラブロマンスを付け加えて知的な物語の展開を混乱させてはいけない。ミステリーの課題は、犯人を正義の庭に引き出すことであり、恋に悩む男女を結婚の祭壇に導くことではない。
確かに推理小説を読んでいるつもりがいつの間にか恋愛小説になってたら驚きますよね(笑)。
4.・・・探偵自身や捜査員の1人を突然犯人にしてはいけない。これは恥知らずのペテンである。
これはノックスの十戒にもありましたよね。
5.・・・犯人は論理的な推理によってしなければならない。偶然や暗合、動機のない自供によって解決してはいけない。
これもノックスの十戒にありました。テキトーな推理で偶然犯人が分かる、などは持っての他ということですね。
6.探偵小説には必ず探偵役が登場して、その人物の捜査と一貫した推理によって事件を解決しなければならない。
誰も推理しなかったら物語は進みません。非常に基本的なことですね。
7.長編推理小説には死体が絶対に必要である。殺人より軽い犯罪では読者の興味を持続できない。
殺人と窃盗で比べると、解決することの重要性などが違ってきますね。
8.・・・占いとか心霊術、読心術などで犯罪の真相を告げてはならない。
ちゃんと自分の頭で推理しろってことでしょうか。
9.・・・探偵役は1人が望ましい。1つの事件に複数の探偵が協力し合って解決するのは推理の脈絡を分断するばかりでなく、読者に対して公平を欠く。それはまるで読者をリレーチームと競争させるようなものである。
読んでいる人も1人の探偵の目線の方が読みやすいかもしれませんね。
10.・・・犯人は物語の中で重要な役を演ずる人物でなくてはならない。最後の章でひょっこり登場した人物に罪を着せるのは、その作者の無能を告白するようなものである。
仰るとおりで(笑)。
11.・・・端役の使用人等を犯人にするのは安易な解決策である。その程度の人物が犯す犯罪ならわざわざ本に書くほどの事はない。
要するに犯人役にはちゃんとした重要性を持たせろということですね。
12.・・・作中にいくつもの殺人事件があっても、真の犯人は1人でなければならない。ただし端役の共犯者がいてもよい。
真犯人が何人もいるのは推理する読者も困惑してしまうかもしれませんね。でもグループ犯などもありますし、今はこの限りではないのでしょうね。
13.・・・冒険小説やスパイ小説なら構わないが、探偵小説では秘密結社やマフィアなどの組織に属する人物を犯人にしてはいけない。非合法な組織の保護を受けられるのでアンフェアである。
あまりにも強大な力がバックにあると、探偵側が手も足も出なくなっちゃうからでしょうか。
14.・・・殺人の方法と、それを探偵する手段は合理的かつ科学的であること。空想科学的であってはいけない。毒殺の場合なら、未知の毒物を使ってはいけない。
これもノックスの十戒にありましたね。
15.・・・事件の真相を説く手がかりは、最後の章で探偵が犯人を指摘する前に、作者がスポーツマンシップと誠実さをもって、全て読者に提示しておかなければならない。
ノックスの十戒にあるように、推理の手がかりはちゃんと読者に明かしなさい、ということです。
16.・・・よけいな情景描写や、わき道にそれた文学的な饒舌は省くべきである。
物語の筋と関係ない余計なパートは入れるな、ということのようです。
17.・・・プロの犯罪者を犯人にするのは避けること。それらは警察が日頃取り扱う仕事である。真に魅力ある犯罪はアマチュアによって行われる。
13番目と同じように、探偵役が手も足も出ないような人物を犯人にしてはいけない、ということですね。
18.・・・事件の結末を事故死とか自殺で片付けてはいけない。こんな結末は読者をペテンにかけるようなものだ。
そんなオチだったら読者は「今までの推理はなんだったんだ!?」と唖然となりますね。
19.・・・犯罪の動機は個人的なものがよい。国際的な陰謀とか政治的な動機はスパイ小説に属する。
要するに、探偵役の手に負える範囲で……ということですね。
20.・・・自尊心のある作家なら、次のような手法は避けるべきである。これらは既に使い古されたものである。
◆犯行現場に残されたタバコの吸殻と、容疑者が吸っているタバコを比べて犯人を決める方法
◆インチキな降霊術で犯人を脅して自供させる
◆指紋の偽造トリック
◆替え玉によるアリバイ工作
◆番犬が吠えなかったので犯人はその犬に馴染みのあるものだったとわかる
◆双子の替え玉トリック
◆皮下注射や即死する毒薬の使用
◆警官が踏み込んだ後での密室殺人
◆言葉の連想テストで犯人を指摘すること
◆土壇場で探偵があっさり暗号を解読して、事件の謎を解く方法
簡単に言うと、ありきたりなものは使うな、ということのようで(笑)。
以上が、推理小説を書く際のルールと呼ばれているものです。1928年に発表されたものですので、今では「ちょっと意味がわからないです」と思ってしまうものもありますね。ただ、本当に基本的なルールも含まれているので、「推理小説を書いてみたい!」という人は、まずこれらを参考にしてみるのもいいかもしれませんね。
source:mynavi.2012.11.17
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推理小説(すいりしょうせつ)は、小説のジャンルのひとつ。殺人・盗難・誘拐・詐欺など、なんらかの事件・犯罪の発生と、その合理的な解決へ向けての経過を描くもの。小説以外にも漫画や映画、ゲームなどさまざまなメディアに展開されるミステリーというジャンルの元になった。
概要
「推理小説」という名称は、木々高太郎が雄鶏社にて科学小説を含む広義のミステリー叢書を監修した際、江戸川乱歩や水谷準に提案されて命名したものと伝えられる。このほか探偵小説(たんていしょうせつ)、ミステリー小説(みすてりーしょうせつ)という呼び名もあるが、前者の名称は「偵」の字が当用漢字制限を受けたために用いられなくなった。犯罪小説と重なる部分もあるが、完全に同義という訳ではない。
誕生と発展
推理小説誕生の前提となる社会状況 [編集]世界初の推理小説は、一般的にはエドガー・アラン・ポーの短編小説「モルグ街の殺人」(1841年)であるといわれる。しかし、その数年前にチャールズ・ディケンズも半推理・半犯罪小説の『バーナビー・ラッジ』を書いているほか、100年ほど前に書かれたヴォルテールの『ザディグ』(1747年)の一編『王妃の犬と国王の馬』も推理に重きが置かれている。さらには『カンタベリー物語』、『デカメロン』、聖書外典『ダニエル書補遺』の『ベルと竜』などにも推理小説のような話が収録されており、どこに端を発するかという議論は尽きない。
しかし、確実にいえるのは、1830年代にイギリスにおいて警察制度が整ったことにより、犯罪に対する新しい感覚が生まれたということである。1830年代に一世を風靡したニューゲート小説は、ニューゲート監獄の発行した犯罪の記録を元に書かれた犯罪小説であり、後の近代推理小説が生まれる基盤を作ったといえるだろう。
また、権利と義務の体系が整い、司法制度や基本的人権の尊重がある程度確立した社会が成立していることも、推理小説に欠かすことのできない要素であると考えられる。
推理小説というジャンルの確立には警察組織の存在が大きかった。法を手に犯罪者を捕らえる新しい形のヒーローが誕生した裏側には、また急速に都市化が進んでいくイギリスにおいて、都市の暗黒部に対する一般市民の不安が高まっていた、という歴史的事実もある。また都市化に伴うストレスのはけ口として、「殺人事件」というモチーフの持つ非日常性が必要とされていたという見方もある。
推理小説の発展とメディアの越境
推理小説が誕生した後、さまざまなアイデアが生み出され、下記に挙げられるようなミステリーにおける「基礎・応用などの土台」が作られていった。また、科学・医学の進歩に伴い、科学的な知識を用いたトリックなども、次々と考え出されていった。
また、ミステリー表現の世界は小説だけにとどまらず、映画・ドラマ・舞台・漫画・ゲームなどさまざまなジャンルに波及し、表現の幅を広げていった。
日本独自のスクール
◆ 社会派
一般に、社会性のある題材を扱い、作品世界のリアリティを重んじる作風を指す。事件そのものに加え、事件の背景を綿密に描くのが特徴。日本では1960年代から長らく主流が続いた。松本清張の作品がその代表とされる。1990年代以降は高村薫がこの代表である。
◆新本格派
字義としては「新たな本格」であり、ミステリ史上いくつかの使用例があるが、日本では特に、1980年代後半から90年代にかけてデビューした一部の若手作家による作品群を指すことが多い。綾辻行人、有栖川有栖、法月綸太郎等がこの代表である。各作家による差異はあるが、一般に古典的ミステリに倣った作風を特徴とする。ただし「新本格」という用語にはこれ以前にも別の用例があり、またミステリの拡散状況もあって、現在では歴史的な用語に近くなっている。
◆叙述トリック
小説という形式自体の暗黙の前提や偏見を利用したトリック(→トリック (推理小説)#叙述トリック)。下記メタミステリとの関係が深い。日本では折原一が好んで用いている。または綾辻行人の「十角館の殺人」の様に、作者が直接、読者に仕掛けたトリックであるとも言える。
◆メタミステリ
推理小説の形式自体を題材にした、あるいは利用した推理小説。曖昧に使われているが、広くいえば言語の自己言及性そのものに謎を見出す作品。小説中にAとBの2つの部分が交互に現れ、Aに現れる登場人物がBを、Bに現れる登場人物がAを執筆しているという合わせ鏡的プロットや、作中作を利用した再帰的構造の一番奥の部分が、全体の枠組みに言及する循環構造プロット、「読者が犯人」「著者が犯人」「出版者が犯人」など商品としての書物自体を含んだプロットなどが挙げられる。メタフィクション参照。
本格作品(前述)の〈手がかりをすべて作中に示す〉ことが作中でどのように保証されるかを問題にしたプロット(「本格」としての解決の後、それが実は作中作であって、後日談があって、新たな捜査の進展があって、意外な真相がさらに明らかにされる、など)も含まれ、この種の推理小説自体の枠組みに対し疑念を呈する作品を「アンチ・ミステリー」(反推理小説)と呼ぶことがある。
◆日常の謎
法律に触れるような犯罪ではなく、日常生活の中でふと目にした不思議な現象などについて、その理由・真相を探るもの。代表的な作家に北村薫、加納朋子等がある。
◆青春ミステリ
主人公もしくはそれに近い人物に、思春期・青年期を迎えた人物を配したミステリー。多くは小説の進行に伴って、主人公及びその周辺の人物の成長が描かれる。学園ミステリーの多くを包含する。古典的な代表作に赤川次郎の『セーラー服と機関銃』、小峰元『アルキメデスは手を汚さない』、栗本薫『ぼくらの時代』等があり、近年の書き手では米澤穂信、辻村深月などが著名である。 米澤穂信の「〈小市民〉シリーズ」、「〈古典部〉シリーズ」のようなコミカルな「日常の謎」系の作品から桜庭一樹の『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』のように陰惨なテーマを扱ったもの、ごく普通の少女だった主人公が如何に推理力を育てたかを描く松岡圭祐の『万能鑑定士Qの事件簿』シリーズまで、作風は幅広く存在している。
◆トラベル・ミステリ
狭義には、有名な観光地を舞台にし、探偵役が何らかの形で観光に関わる作品を指す。テレビドラマや映画など、映像化に適したジャンルでもあり、傑作も多い。日本では特に西村京太郎の多作によって、人気ジャンルの一つになっている。
広義には、鉄道や航空機などの交通手段を用い、その運行予定表の裏をかいたアリバイ工作の登場する作品。「時刻表トリック」「時刻表もの」などとも言う。日本では鉄道を始め、公共輸送機関の定時性が極めて高く、国民の間で広く利用されていることが、このジャンルの成立と人気を支えている。
◆バカミス・・・「バカミス」を参照 (wikipedia)
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