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by nanasan1029
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なぜ3000円の男用パンツが86万枚も売れたか?

男性下着という参入障壁の高い市場で年間86万枚のヒットを記録。メンズインナーでは後発だったワコールが、なぜその快挙を成し遂げられたのか?本文を読んでね☆【キーワード】:メンズインナー, クロスワーカー, ワコール, 男性下着


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男性下着という参入障壁の高い市場で年間86万枚のヒットを記録し、そして狙い通り、購買スタイルまで大きく変えた。メンズインナーでは後発だったワコールが、なぜその快挙を成し遂げられたのか。

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なぜ3000円の男用パンツが86万枚も売れたか?_a0028694_9205259.gif後発メーカーが参入障壁の高い分野で成功できた理由

ヒット商品を生み出すために一種の「タブー」に挑戦するという方法がある。タブーとは「禁忌」と訳されるように、何らかの規範によって禁止されていたり、表立って触れにくい事柄のことだ。もちろん法律に抵触したり、あまりにも道徳的配慮に欠けるような場合は論外だが、古臭い価値観にとらわれて逃していたチャンスにあえてチャレンジすることで巨大なフロンティア・マーケットが拓ける可能性は決して低くない。この種の市場には、もともとライバルがいないうえに、表面化しにくい「サイレント・ニーズ」が沈潜している場合が多いからだ。

今回は、技術力に裏打ちされたイノベイティブな商品の開発により、買い物のし方にかかわる伝統的なタブーを打ち破ったワコールの機能性下着「クロスウォーカー」を紹介してみたい。この商品は、「男性が自ら下着を買いにいく」というこれまでにはほとんど見られなかった購買スタイルを創造することで、大ヒットを記録した。

まず商品の説明をしよう。クロスウォーカーとは、穿いて日常の生活をしているだけで自然とシェイプアップができてしまうという非常に便利なパンツである。

この商品の原理はこうだ。ボクサースタイルのこのパンツは、ちょうど太もも前側が当たるところに独自のクロス構造が仕掛けてある。これが筋腹付近の感覚センサーを刺激すると、大腿四頭筋の活動を活発にさせ、自然と歩幅が広くなる。これにより、後ろ足の蹴る力も強くなり、大腿二頭筋の動きも活発になる。これらの結果として穿いて歩くだけで自然にエクササイズになり、お腹やヒップが引き締まってくるのである。

ワコールは、このような「優れモノ」を2008年3月17日に発売し、わずか1年間で86万枚もの販売実績を記録した。これは近年、2700億円前後で低迷を続けている日本のメンズインナー市場において、一ブランドでシェア十数%を稼ぎ出した驚異の数字なのである。この分野ではまさに革命的な大ヒット商品の誕生といえる。

商品の発想はどのようにして出てきたのだろうか。お話をうかがったワコール・ウイングブランド事業本部メンズインナー部長の細川敏雄氏は、そのあたりの事情をこう語る。「カラダそのものに働きかけることによって、カラダそのものを変えていこうというような発想が、レディースのところで、すでにスタートしていたという経緯がございます」。

同社では、もともと専門分野であるレディース向けに「おなかウォーカー」や「ヒップウォーカー」というシェイプアップ型下着(同社ではスタイルサイエンス商品と呼んでいる)を発売していて、大きな販売成果を挙げていた。それゆえ、メンズにもレディースと同様のニーズがあるのではないか、そしてこれをメンズにも応用できないかと考えたのだ。

また、彼らのメンズインナー市場でのマイナーポジションが、差別化の手段としてこの種の機能性下着の開発にドライブをかけた面が少なくない。ワコールは長らくレディース専業の下着メーカーとしてやってきており、「BROS(ブロス)」ブランドを掲げてメンズ分野に進出したのは1991年のことである。

つまり後発メーカーもいいところで、進出当初、非常に苦戦を強いられた。その原因は、グンゼをはじめとするメンズ専業メーカーが確固としたマーケットをつくっていたという経緯があり、彼らは強力で、参入障壁が極めて高く、ワコールがつくるメンズインナーではとても太刀打ちができる状態になかったのだ。

当時、メンズインナーのマーケットはほぼ100%が「代理購買」だった。これは下着を着用する本人が買うのではなく、母親や妻といった代理人が買ってくるという状態を意味する。こういった特異なマーケットでは、いわゆる「需要」は「物(ブツ)だけ」になりがちで、付加価値の介入する余地はなく、バリエーションもほとんど必要なくなってしまう。

実際、かつて男性の下着には、ブリーフ神話、綿神話みたいなものが根強くあり、白色のワンパターンのブリーフに丈夫さだけが求められてきた。そして、このような需要状態はストレートに価格に跳ね返ることになる。代理購買をしている母親や妻は、男性の下着にまったく興味がない。それどころか購買上の抵抗感すらある。それゆえ、商品について一々確認したり、選択したりせず、価格の安いものを手早く買って帰りたいのだ。つまり、パンツは穿けさえすればよいということになる。

夫がめとった妻に対し、「釣り上げた魚には餌をやらない」という不謹慎な表現があるが、細川氏によると男性下着に関してはこの逆で、「旦那にいい下着を買う妻はいなかった」のだそうだ。結果として、2パック800円、3パック1000円といった特価ビジネスがこの業界では一般化してきたのである。


なぜ3000円の男用パンツが86万枚も売れたか?_a0028694_9205259.gif男性消費者にパンツを「本人購買」させる

細川氏自身、この業界に入って驚いたのが、いわゆるナショナルブランドが存在しないという事実だった。代理購買を主とする特異なマーケットでは、最低限の品質と低価格だけが求められる。消費者の気を引くための気の利いたネーミングや美しいロゴ、マークなどはまったく必要とされなかったのだ。

このような特異なマーケットでサバイバルしていくためには、ライバル追随型ではだめで、独自のビジネスを行うしかない。そのための手段として目をつけたのが「本人購買」という新しい購買スタイルだった。これは自分の身に着けるものは他人にまかせず、自分で購買するようにし向ける戦略的コンセプトである。

この原点には、ワコールが長年培ってきた女性インナーという組織風土がある。女性は心理状態、TPOに合わせて下着を着け替える。一方で男性は年がら年中、朝から晩まで同じものを着けていて、下着に対する期待感、楽しみや満足感がないと思われてきた。しかしそれはあくまで神話の世界であり、実際にはそんなことはないだろうと考えたのだ。細川氏はほとばしるような勢いで次のように語った。

「絶対に本人が買うのが普通だろうと。自分のものを自分が買わないというのは、おかしいじゃないかと。奥さんとかお母さんの買ってきたものを、唯々諾々と穿いてるなんていうのはおかしいんじゃないか。そういう視点をもてたのは、ワコールがレディース下着のメーカーだったことが大きいです」

そして、98年にメンズインナー・ビジネスに大幅なリニューアルを行い、「男にも下着を着替えさせる」ということで、ライフスタイル提案型のメンズインナーという御旗を掲げることになったのだ。

だが実際、男性消費者に本人購買をさせるためにはそれなりの誘因が必要だ。やはり「あなた、カッコ良くなれるんですよ」とか、「こういった下着を穿くことによって、満足が得られるんですよ」といったような実利的なアプローチをしていかないと、購買行動には結びつかない。

そこで、注目したのがレディースで成功していた、歩きをエクササイズに変えるスタイルサイエンス商品だった。

なにもシェイプアップは女性だけの専売特許ではない。男性もファッショナブルになり、体形や体脂肪を気にするようになってきている。そして、「クールビズ(COOL BIZ)」や「カジュアル・フライデー」などのブームに乗って、女性が毎日服を着替えるように、ビジネスマンもアウターに気を使わなければならなくなり、それにあわせてインナーにも気を配るようになってきた。


なぜ3000円の男用パンツが86万枚も売れたか?_a0028694_9205259.gif効果を得るための「ガードル穿き」を徹底的に啓蒙

このような時代のトレンドをつかんで、細川氏らマーケティング・サイドがメンズでもスタイルサイエンス商品に取り組んでみたい、と手を挙げたのだ。そして同社の人間科学研究所に男性のモニタリングと、データの収集を依頼したのだった。

人体に関する画期的な分析装置や計測法を考案し、同社の優れた商品開発のバックボーンになっている人間科学研究所では、早速多数のモニターを使った実験や数値の測定に着手した。そして、歩幅が広くなって、自然にエクササイズになるというクロスウォーカーの心臓部に当たるクロス構造の開発に成功した。

この新商品の効果については、ワコールから数字が公表されている。それによると、89%の被験者に体脂肪率の減少が見られ、77%の被験者で腹囲の減少が見られたそうだ(週5日以上この下着を着用した同社の44名の社員を3カ月間モニタリングした結果)。つまり、「カッコ良くなれる」という科学的証拠がそろい、潜在市場性の高いプロトタイプができ、「本人購買」へと誘引する下地が整ったのだ。

ここからはいよいよマーケティングの出番となる。実際の市場化にあたってはメンズインナー部がデザイン、カラー、ブランド、価格等の設定、そしてコミュニケーション活動を担当した。

クロスウォーカーのようなこれまでメンズインナー市場に存在しなかった革新的商品の場合、とりわけ重要なのがコミュニケーション活動だ。この商品の場合、「効果」が「本人購買」を引き起こす重要なファクターになる。それゆえメンズインナー部では、男性消費者に効果を実感してもらうための前提条件の周知に心を砕いたという。

ポイントは、まず1日6000歩以上歩き、週5日以上着用するという条件をクリアしないと、効果は得られないということ。加えて、明確な効果を得るためにはきちんとした穿き方が重要という点だ。ワコール社内では「ガードル穿き」と呼んでいるそうだが、ガードルを着けたことのない男性にとってこのきつめの下着は穿き方をきちんと知って、股間、ヒップ、太ももの位置に正しく配置しないと十分な効果が得られず、快適性も損なってしまうという点だ。

メンズインナー部では、これらのポイントをパンフレット、インターネット、そして包装パッケージなどで詳しく説明し、情報普及に成功した。この商品のターゲットである男性消費者は、説明やうんちくが非常に好きなのだ。それゆえ、女性に比べて、説明文をよく読んでもらえたそうである。その結果、同社が戦略的に意図した「知っていただいて、理解をしていただいて、着用していただいて、実感していただく」(細川氏)、というプロセスを経て男性消費者は満足感を獲得できたのである。

また、女性消費者との購買行動の違いに関して興味深い話がある。同社の統計によると、女性消費者の場合、「おなかウォーカー」「ヒップウォーカー」を発売した際に、ほとんどの人が一枚買いだったそうだ。とりあえずトライアルしてからということなのだろう。

ところが、男性消費者の場合は発売時から、3000円以上という高価格帯の商品にもかかわらず、2枚、3枚まとめて買う人が非常に多かったという(ちなみに筆者もそうだ)。これは男性が感性的な女性と異なり、計画的だからと思われる。週5日以上穿かなければ効果がないといわれたならば、洗濯の必要性から最低でも2、3枚はないと継続使用ができないと即考えるのだ。

男性消費者はこれまで下着の購買において、女性のような「本人購買」はほとんど見られなかった。が、ひとたび商品の効果を知り、理解すれば、あれこれ目移りすることなくまとめて、そして継続的に「本人購買」する可能性が高い。このような男性消費者の購買性向を喝破し、時流を捉えた高付加価値商品をつくり上げ、詳細なコミュニケーション活動を展開することでタブーを打ち破る購買スタイルを編み出したワコールに、筆者は惜しみない拍手を送りたい(文ー野口智雄)


なぜ3000円の男用パンツが86万枚も売れたか?_a0293798_22334394.gif(source:president2011.5.11)

なぜ3000円の男用パンツが86万枚も売れたか?_a0293798_22334394.gif野口智雄(早稲田大学社会科学総合学術院教授)



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【Tags】:#メンズインナー, #クロスワーカー, #ワコール, #男性下着
by nanasan1029 | 2012-11-01 06:36 | ビジネスのなぜ?ニュース